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教員の「指導」はどこまで許されるの?

投稿日:03/31/2018 更新日:

須田です。
明日から4月、新年度ですね。
新入学の話を聞くと、こちらまでフレッシュな気持ちになります。

今日は、学校に関連し、教育の場面での「指導」がどこまで許されるのかについてのお話です。
教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる、とされています(教育基本法11条本文)。また、体罰を加えることは明文で禁止されています(同条但書)。
では、教員の行為は、どこまでが許されてどこからは許されないと考えられるのでしょうか。

この点、まず、「懲戒」と「体罰」の区別については厚労省が、通知を出しています。
それによると、懲戒行為が体罰に当たるかどうかは、
「当該児童生徒の年齢、健康、心身の発達状況、当該行為が行われた場所的及び時間的環境、懲戒の態様等の諸条件を総合的に考え、個々の事案ごとに判断する必要があ」り、「単に、懲戒行為をした教員等や、懲戒行為を受けた児童生徒・保護者の主観のみにより判断するのではなく、諸条件を客観的に考慮して判断すべきである」
とした上で、
「その懲戒の内容が身体的性質のもの、すなわち、身体に対する侵害を内容とするもの(殴る、蹴る等)、児童生徒に肉体的苦痛を与えるようなもの(正座・直立等特定の姿勢を長時間にわたって保持させる等)に当たると判断された場合は、体罰に該当する」とされています。
ただし、上記の場合でも、正当防衛ないし正当行為として許容される場合もあります(平成25年3月13日付け通知「24文科初第1269号」より)。

また、参考事例についても、厚労省のサイトに掲載されています。

【厚労省「学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例」】http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1331908.htm

これを見ると、教員自身による有形力の行使や児童・生徒に具体的な行為をさせる(させない)行為については、許されるか許されないかが、比較的分かりやすいと思います。

では、そうではない教員の言動は、「指導」としてどこまで許されるのでしょうか。
これについては、東京都教育委員会がまとめたガイドラインがとてもよく整理されています。

【東京都教育委員会「体罰の定義・体罰関連行為のガイドライン」】
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2014/01/20o1n100.htm

このガイドラインも参考にすると、まず、脅迫的、威嚇的、人格否定的言動は、およそ指導とは言えないものであり許されない言動と言えるでしょう。
また、上記にあたらず、一応正当な指導目的に基づく言動であっても、その指導内容・方法等が対象となる児童・生徒の発育・発達や心身の現況に対して不相当である場合には、「行きすぎた指導」として許されない言動と言えると考えられます。
もっとも、その言動の認定にあたっては、上記の厚労省の通知を踏まえ、教員や、対象児童生徒・保護者の主観のみにより判断するのではなく、諸条件を客観的に考慮して判断すべきであると言えるでしょう。